創業計画書の書き方|審査する側が見ている3つの項目【元・日本政策金融公庫20年】

日本政策金融公庫の創業融資を申し込むとき、中心になるのが創業計画書です。書式はA4の1〜2枚。項目数は多くありませんが、「何をどこまで書けばよいのか分からない」という声を、福岡・鹿児島をはじめ九州各地からよくいただきます。

公庫で20年間、融資審査を担当してきた立場から、審査する側が創業計画書のどこを見ているのかと、書き方の考え方を整理しました。

創業計画書は8つの項目でできています

  1. 創業の動機
  2. 経営者の略歴等
  3. 取扱商品・サービス
  4. 取引先・取引関係等
  5. 従業員
  6. お借入の状況
  7. 必要な資金と調達方法
  8. 事業の見通し(月平均)

このうち、審査で特に重く見られるのは②経営者の略歴、⑦必要な資金と調達方法、⑧事業の見通しの3つです。

重く見られる3項目

② 経営者の略歴 — 事業と経験がつながっているか

創業時点では事業の実績がありません。そのため、その事業を成功させられる根拠は、経営者自身の経験に求められます。同じ業種での勤務経験があれば、それだけで見通しの説得力が変わります。

勤務先と年数を並べるだけでは足りません。そこで何を担当し、何ができるようになったのかを書きます。売上を作った経験、仕入や原価の管理経験、部下を持った経験。これから始める事業に直接つながるものを選んで書きます。

⑦ 必要な資金と調達方法 — 左右が合っているか

左側に「必要な資金」(設備資金・運転資金)、右側に「調達方法」(自己資金・借入)を書き、両者の合計を一致させます。ここでよくあるのが、必要な資金を先に決めずに、借りたい金額から逆算してしまうケースです。

設備資金は見積書の金額で書きます。運転資金は「何か月分の、何の支払いに充てるか」で組み立てます。根拠のない端数のない金額(ちょうど500万円など)は、必ず内訳を確認されます。

⑧ 事業の見通し — 売上の根拠があるか

最も差が出るのがここです。売上を「月100万円」と書くだけでは、なぜその数字なのかが分かりません。

売上は分解して積み上げます。

  • 飲食店なら:客単価 × 1日の客数 × 営業日数
  • 美容室なら:施術単価 × 1日の予約数 × 営業日数
  • BtoBのサービス業なら:契約単価 × 契約件数 × 継続月数

そのうえで、客数や件数の根拠を書きます。席数と回転数、商圏の人口、これまでの取引先からの見込みなど、自分の事業に即した材料を使います。「同業の平均」を根拠にすると、なぜ自分がその平均を達成できるのかが説明できません。

よくある落とし穴

  • 売上が右肩上がりすぎる — 創業直後から計画どおりに売れることはまれです。立ち上がりに時間がかかる前提で書くほうが、かえって信頼されます。
  • 原価率が業界水準とかけ離れている — 利益を出すために原価を低く見積もると、計画全体が疑われます。
  • 生活費が入っていない — 事業から生活費を取れるかどうかは必ず見られます。役員報酬や事業主貸を計画に織り込みます。
  • 固定費を小さく見積もる — 家賃、人件費、社会保険料。毎月必ず出ていくお金を過小に見ると、資金繰りが最初の数か月で行き詰まります。

書き終わったら確認する5点

  1. 数字の根拠を、見ないで説明できるか
  2. 必要な資金と調達方法の合計が一致しているか
  3. 利益から毎月の返済ができる計算になっているか
  4. 生活費が計画に入っているか
  5. 売上が計画の8割だった場合でも、資金が回るか

5つ目は特に重要です。計画どおりにいかなかったときに何か月もつのかを、事前に把握しておきます。ここは資金繰り表テンプレート(無料)を使うと確認できます。

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